855,000 – 1,041,427 SHU
原産地 インド・バングラデシュ
ブートジョロキア(Bhut Jolokia)は北東インド・バングラディッシュ周辺を原産地とするシネンセ種のトウガラシです。2007年に日本のSBが開発したSBカプマックスを抜き世界一辛い唐辛子としてギネスに登録され、2011年のインフィニティチリの登場まで世界一の座をキープした、世界の唐辛子の中でもトップクラスの知名度を持つ品種です。
ギネスに登録されていた期間が比較的長かったのと、ゴースト(幽霊)やナーガ(蛇)をモチーフとした格好良い異名を持っているためか、世界中で非常に人気のあるトウガラシの中の1種となっています。
気になる辛さ(スコヴィル)は?
辛さを表すスコヴィル(Scoville heat units,SHU)はトウガラシ研究で有名なニューメキシコ州立大がギネス登録したときの記録で1,001,304SHUとなっています。日本で主に食されている唐辛子であるタカノツメが大体30,000〜50,000SHUなので、タカノツメの20〜30倍程度の辛さと考えて良いでしょう。
ただブートジョロキアは気候や環境に非常に左右されやすく、インドのマニプル大の研究者が測定した時はハバネロと同程度の329,100SHU程度でした。激辛トウガラシ全般に言えることですが、ストレスをかければかけるほどトウガラシは辛くなるため、過酷な環境で育ったジョロキアのが辛くなる可能性は高いです。
このようにジョロキアと言っても地域やファームによって辛さがかなり変わるため、ジョロキアを購入する場合は可能であればスコヴィル値を自主的に測定しているファームやメーカーから買うのが良いでしょう。
単純に辛さだけを期待するのであれば、2017年現在世界一の辛さとギネス認定されている、ジョロキアの2〜3倍の圧倒的辛さの唐辛子「キャロライナリーパー」(1,569,300〜2,200,000SHU程度)を買うことをおすすめします。
ブート・ジョロキアの名称は「ブータン人の唐辛子」という意味
ブートジョロキアの名称については長いので興味のない方は読み飛ばしてください。
このトウガラシには異名がたくさんあり、主に「ブート系」「ナーガ系」の2種類が使用されています。
「ブート系」or「ナーガ系」+「ジョロキア」(Jolokia / アッサム語で「唐辛子」という意味)
もしくは
「ブート系」or「ナーガ系」+「ペッパー」「チリ」
などの名の組み合わせで販売されることが多いです。
例:
「ブート・ジョロキア」
「ゴースト・ペッパー」
「ナーガ・ジョロキア」
「ナーガ・ペッパー」
など。上記の名前の組み合わせは数多くありますが、基本的にはすべて同じ唐辛子と思って良いです。
ブート系(Bhut / ভোট)
幽霊系のイメージでパッケージ化されることが多いのが「ブート系」の名称です。
よくある例:
「ブート・ジョロキア」「ゴーストペッパー」など
ブート(Bhut)はアッサム語で「ブータン人(Bhutan)・チベット人の」という意味で、本来は「ブート・ジョロキア」で「ブータン・チベット人の(ブート)トウガラシ(ジョロキア)」という意味となります。アッサム語をアルファベット化した時に同じスペルのBhutが「幽霊」という意味にもなるため「ゴースト・ペッパー」などとも呼ばれるようになりました。
ブート系の名称
ブート・ジョロキア
ゴースト・ジョロキア
ゴースト・チリ
ゴースト・ペッパー
ナーガ系(Naga)
蛇系のイメージのでパッケージ化されることが多いのが、こちらのナーガ系の名称です。
よくある例:
「ナーガ・ジョロキア」「コブラペッパー」など。
Nagaという名称の由来は主な原産地の一つであると言われているナガランド州のナガ族に由来します。ナガ族は本来蛇とは関係が無く、彼らがつけている民族衣装の首飾りからナガ族と呼ばれています。しかしインド神話や仏教などに出てくるナーガ(Nāga,Nag)という蛇神とアルファベットのスペルが同じだったので彼らの民族名と紐付けられることになりました。写真で青い神(ヴィシュヌ)を乗せているの7つ首の蛇がナーガです。
ナーガ系の名称
ナーガ・ジョロキア
ナーガ・チリ
ナーガ・ペッパー
コブラ・チリ
ナガ・モリチ(バングラデシュ)
ブートジョロキアとハバネロの違い
ハバネロよりは知名度はありませんが、同じく激辛系の唐辛子としてよく比較対象になります。ここではハバネロとどのような違いがあるのかを見ていきましょう
外見
激辛系の唐辛子の傾向として、辛ければ辛いほど辛ければ辛いほどシワが多くなる傾向があります。
物によっては100万スコヴィルを超えるブートジョロキアはシワだらけとなっており、対してハバネロはハリを感じさせるなめらかな曲線が特徴的です。
ハバネロに関しては形は多種多様な品種に派生していますので、一概に「丸っぽい」とか言うことはできません。(ジョロキアに比べると丸っぽいですけれどね)
色に関しては、またハバネロは赤から黄色、オレンジやチョコレート色など多種多様な色がありますが、ジョロキアは基本的には赤色のものが多く、たまにオレンジ色やチョコレート色のものもあるといった感じです。
辛さは何倍?
ジョロキア
855,000 – 1,041,427 SHU
ハバネロ
200,000 – 350,000SHU(レッドサヴィナ種だと577,000SHU)
ということですので、最大5倍の開きがあります。唐辛子は同じ種でも育った環境によってかなりブレがでますので、一応参考程度にしておいてください。
ジョロキアがハバネロより辛いということは間違い有りません。
味の違いは?
ブートジョロキアは正直に言って食べると痛いです。辛いジョロキアは痛くて味とかわかんないです。対してハバネロは痛さの中にもフレッシュな果実感を感じられるという違いがあります。
味の違いは味を感じられるか感じられないかというところですね。
食感に関しても、ハバネロが肉厚で食べるとみずみずしさがあるのに対して、ジョロキアにはそれがありません。
地域
またブートジョロキアは主にインド周辺で栽培されているのに対し、ハバネロは主にカリブ海付近や北米に栽培されています。
またハバネロは知名度的にもジョロキアより上ですので、カリブ海近辺に限らず世界中で栽培されています。
ブートジョロキアを買える場所・入手方法
基本的にはスーパーでは手に入りません。ハバネロでしたらまだ販売しているスーパーもあるようですが、さすがにジョロキアは需要が少ないようでジョロキアを購入しようと思ったら、基本的にはネットでの購入となってしまいます。
もしくは唐辛子は栽培も比較的楽ですので、自分で育てるというのも無しではないと思います。
ブートジョロキアの選び方
ジョロキアを買うとなった時に選択肢が国産品か輸入品という事になりますが、辛さを求めるのであれば国産が必ずしも良いというわけではないというのに注意が必要です。先述の通りジョロキアなどのトウガラシは産地の気候や土の質などにより辛さが非常に大きく左右され、場合によってはハバネロ以下のスコヴィル値になったりします。もちろん海外産だから必ずしも辛いというわけでもありませんので、色々ご自身で食べ比べて見るのが良いと思います。ここでは「生」「冷凍」「ドライ」「ホットソース」のジョロキアがそれぞれどこで買えるか、いくら位の価格になるかを詳しく紹介したいと思います。
生ブートジョロキア
ネットでも生のジョロキアが手に入るのはシーズンの6月下旬〜9月頃までのところがほとんどのようです。
ただ唐辛子は冷凍しても品質は落ちませんので、無理して生のジョロキアを購入するのでしたら次にご紹介する冷凍のジョロキアを購入するのでも問題は無いと思います。
ペッパーフレンズ(千葉県産)
20g(3〜5個) / 515 円
公式サイトで見る
スナオヤサイ(兵庫県産)
60g / 280円
公式サイトで見る
冷凍ブートジョロキア
トウガラシは冷凍による劣化が殆ど無いので、冷凍のブートジョロキアでしたら1年を通して手にはいりますのでお薦めです。届いたら使いやすいように小分けにして冷凍するのをおすすめします。
ハバネロ館(滋賀県産)
ペッパーフレンズ(千葉県産)
20g(3〜5個) / 515 円
公式サイトで見る
ターリー屋(産地不明)
1個 / 500円
公式サイトで見る
粉末ブートジョロキア
日本で一番手に入りやすいのはこのタイプのジョロキアです。お好きな料理に入れたり、一味として使用する事ができます。開封後はダニがわきますので、大量に入っているタイプのものを購入した場合は必要な分だけ小瓶に移すなどし、残りは空気を抜いてしっかり蓋を締めた上で冷凍庫に保存しておきましょう。
りょう君のジョロキア(バングラディッシュ産)
日本人がバングラディッシュで作ったジョロキアです。独自のパッケージングをしているので見覚えの有る方もいるかもしれません。
川口貿易 ジョロキアパウダー(バングラディッシュ産)
昔からジョロキアパウダーを販売している川口貿易のパウダー。こちらもバングラディシュ産
papaz farm ジョロキア(佐賀県産)
佐賀県産のジョロキア。比較的高評価で、香りが良いです。
gあたりの単価も最安なのでお薦めです。
ブートジョロキアのホットソース(ジョロキアソース)
ジョロキアを使用したホットソースの国内流通は少なく、ブレアのデスソースくらいでした。
ブレアーズ アフターデスソース・ジョロキア 150ml
定番オブ定番の「デスソース」ジョロキア版です。普通のデスソースが10,000SHUでアフターデスは50,000SHUなので。あまり辛いものを食べ慣れていない一般の人がギリギリ楽しめるソースかと思います。
ブレアーズ アフターデスソース・ジョロキア 150ml
通常のデスソースの10倍、先程のアフターデスの2倍辛い100,000SHUのデスソースです。アフターデスでも楽しめた方はこちらもどうぞ。
参考
1. Capsaicinoids in the hottest pepper Bhut Jolokia and its antioxidant and antiinflammatory activities.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/20184029/