ブルガリアン・キャロット

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スコヴィル値
5,000〜30,000 SHU
原産地 ハンガリー

概要

ブルガリアン・キャロットは、名前のとおりニンジンにそっくりなトウガラシです。元々の起源はブルガリアなのでその名前が付いているものの、主に栽培がされてきた地域はハンガリーのため、後者が原産国となっています。現地では「シプカス」と呼ばれ、他にも別名”Hot Carrot”、「辛いニンジン」としても知られています。

このトウガラシには少々変わった逸話があります。第二次世界大戦終結後から1989年まで続いた冷戦時代に、ヨーロッパ大陸を覆っていた東西の緊張「鉄のカーテン」の裏で密輸入されていたというのです。そして1980年代後半頃にヨーロッパ全体に広がり、それから知名度が高まっていった言われています。

見た目

この唐辛子はブルガリアン・キャロットの文字通り、小さなニンジンの形をしています。実の大きさは長さ約7.5〜10センチ、幅約2センチで先端に向かって細くなっています。色も実をつけたての緑色に始まり、透き通るような黄色、そして完熟すると黄色味がかった鮮やかなオレンジ色になります。その明るい色調の見た目に加えて花も白く可愛らしいので、オーナメント用の植物としても良い働きをしてくれます。

辛さ

このトウガラシの辛さについては諸説あり、スコヴィル値も5,000〜30,000 SHUとその値にはかなり幅があります。マイルドなものであればハラペーニョと同等、辛いものだと鷹の爪ほどの辛さです。ですので辛味に慣れていない人にとっても辛すぎず、食べやすいトウガラシであると言えるでしょう。

味と食べ方

その目を引く外見に加えて、味に関してもブルガリアン・キャロットには辛味、歯ごたえ、フルーティーさの三拍子が揃っています。ハラペーニョやスコッチボネットなどに比べると知名度では劣るものの、数多ある品種の中でも最も美味しい風味を持つトウガラシの一つではないかと言われています。

フルーティさが特徴のトウガラシはスコッチボネットやハバネロなど他にも多くありますが、ブルガリアン・キャロットはジューシーさとフルーティーさが辛味を程よく抑え、爽やかな辛味となっています。

さらに、特筆すべきは食感です。表面の皮はパリパリとしていて果肉はしっかりとした歯ごたえあり、ローストするのには完璧です。実際に、ブルガリアン・キャロットはその食感の素晴らしさによってトウガラシ界における不動の地位を確立しており、ローストに関しては右に出るものはいません。

ですので、せっかく食べるのなら果肉部の肉厚を活かした料理がおすすめです。ピクルスにしても食べごたえがありますし、実をチョップしてサルサチャツネに加えるも良し、マリネにプラスするのもおすすめです。ピザなどにハラペーニョの代わりにトッピングすれば辛味と風味のアクセントだけでなく、その鮮やかなオレンジ色が食卓全体に彩りを与えてくれますよ。

栽培

栽培に関しても、ブルガリアン・キャロットは非常に頑丈で、屋外で育てやすい品種の一つです。植物自体のサイズは高さ約45センチ、幅約30〜45センチほどと小さいのですが、生育も早く、苗の移植から約65〜75日で実の収穫が可能です。特徴的なのが、実が植物の中心の幹にかなり近い位置に房のように連なることで、その位置に実ることによって葉が日傘の役割を果たし、サヤの表面が日焼けするのを防いでくれます。さらにこのトウガラシは非常に多産で、小さな一株からたくさんの実を収穫することができます。



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