自宅でガーデニングや家庭菜園を楽しんでいる方々にとって大敵となるのが、アブラムシなどの害虫です。時間と愛情をこめて育てていた植物に悪い虫が付いていると、慌ててしまいますよね。
そのような時には市販の殺虫剤を使う方も多いでしょう。でも虫を退治する殺虫剤は、唐辛子を用いて自分で作れることをご存じですか?
唐辛子は料理でそれほど大量に使うものでもなく、余ってしまうこともありますね。そのような場合でも唐辛子での殺虫剤の作り方を知っていれば、余ってしまった唐辛子をムダにすることなく有効活用することができますよ。
唐辛子殺虫剤って何?
唐辛子には「カプサイシン」という辛み成分が含まれています。このカプサイシンは人間が唐辛子を食べた際にも強い辛みを感じるものですが、小さな虫たちにとっては更に強い忌避効果を発揮するといわれています。米びつに唐辛子を入れておくと虫がわかないのは有名な話ですが、これもカプサイシンの忌虫効果のおかげと言えます。
このカプサイシンはアブラムシやダニ、青虫など多くの虫に有効だとされています。ガーデニングや家庭菜園ではアブラムシが発生することがとても多く、このアブラムシに効くなら嬉しいですね。
唐辛子殺虫剤は自宅で簡単に作れるので、その材料や作り方を見ていきましょう。
唐辛子殺虫剤の原液の材料
唐辛子(生または乾燥どちらでもOK):10本前後
焼酎:200mL 程度(酢の場合は500mL 程度)
ニンニク:1片か2片(なくても可)
保存用のビン
使用するためのスプレーボトル
分量は大体の目安なので、正確に量らなくても大丈夫です。あとはこの材料を入れて原液を作るためのビンなども用意しておきましょう。
唐辛子殺虫剤の材料として必要なのは、まず当然「唐辛子」ですね。虫に対して忌避効果を持つカプサイシンですが、このカプサイシンは脂溶性という、水に溶けにくい性質を持っています。このためカプサイシンの成分が溶け出しやすくなるように、アルコール類も一緒に使うのがおススメです。ここではアルコール度数の高めで家庭ですぐ手に入るお酒として「焼酎」を用いた作り方をご紹介します。
また酢にも防虫、抗菌、殺菌作用があるので、焼酎の代わりにお酢を使用してもOKです。お酢には植物が元気に育つための栄養素も含まれているとされています。
更に抗菌効果のある食材として、「ニンニク」を混ぜるのも効果大です。ニンニクなら冷蔵庫に常備しているご家庭も多いので、準備に手間がかかりませんね。
唐辛子殺虫剤の作り方
唐辛子殺虫剤の作り方は、基本的には材料全部をビンなどの容器に入れて2週間から1か月ほど漬け込むだけです。
カプサイシンを上手く抽出するためには、唐辛子を輪切りにするなど細かくしてから投入するとよいでしょう。ただし唐辛子のカプサイシンは、「胎座」と呼ばれる部分で作られています。この胎座は唐辛子の実の内部の中心にある、種が多く付いている部位のことです。「ワタ」といえばイメージしやすいかもしれません。胎座はこの殺虫剤の主成分をたっぷりと含んでますので、切ったりちぎったりする際は、この胎座を捨ててしまわないように注意しましょう。
また唐辛子の成分が身体に付いてしまうと、ヒリヒリとした痛みを引き起こす可能性があります。唐辛子を扱う際はできれば手袋をし、目や鼻の粘膜に付かないように注意しながら作業してくださいね。
ニンニクを入れる場合も、細かく刻んだりすりつぶしたりしておくのがおススメです。
新鮮なニンニクには「アリイン」という成分が含まれています。このアイリンはニンニクを切ったりすり下ろしたりすることで、抗菌力を持つ「アリシン」に変化します。
唐辛子殺虫剤の使い方
使う時は希釈しよう
唐辛子殺虫剤は原液のままでは濃度が濃すぎるので、使う際には水で薄めます。基本的にはスプレーボトルは100円ショップなどで売っているものでOKです。もう少し予算を出せるのであれば、フルプラのスウィングモデル辺りが霧も細かく、逆さ噴射できるのでおすすめです。
なお原液をスプレーボトルに移す際は、スポイトがあると便利です。また薄める時はできれば水道水ではなく、口をつけていないミネラルウォーターを使用してください。
濃度が濃すぎると植物によっては弱ってしまう可能性もあります。初めは300倍以上に薄めて散布して、様子を見ながら使っていきましょう。
スプレーする時は裏側も忘れないように
散布する時には、葉っぱの表面だけでなく裏側にもスプレーがかかるように吹き付けます。植物に付く虫は葉っぱの裏側に隠れていることが多いのです。
また日差しの強い日の日中に液体をかけると、葉っぱが焼けてしまう可能性もあります。土への水やりも地中の温度が上がらないように、朝か夕方が良いとされています。殺虫剤のスプレーも水やりの時間帯と一緒、と覚えておくとよいですね。
身体にかからないように注意!
唐辛子殺虫剤をスプレーで散布する際は、できれば手袋とマスクを着用しましょう。手に付着するとヒリヒリしますし、スプレーしたものが鼻や口に入ると強くせき込む恐れがあります。このため風が強い日には散布しないようにするのが安全です。
また身体に風を感じなかったとしても、少しの風でスプレーの液体は周囲に舞い散ります。必ず自分は風上に立って、風下に向けてスプレーしましょう。さすがに大げさかもしれませんが、目を保護するためにメガネがゴーグルがあると更に安全ですね。
これらの道具は市販の殺虫剤を散布する際にもあると便利なので、ガーデニングや家庭菜園を続けるなら揃えてしまうのもおススメです。
またお子様がいるご家庭では、手の届かないところで唐辛子殺虫剤を保管するようにしましょう。劇薬では有りませんので後遺症が残ると行ったことは心配有りませんが、(基本的には)アルコールを使用した殺虫剤ということを忘れないようにしましょう。自分でも忘れないように、原液のビンやスプレーボトルに「唐辛子スプレー」とラベルを貼っておくと安心です。