料理のアクセントとしてよく使われる唐辛子ですが、家庭菜園等で栽培すると、一度に相当数の唐辛子が収穫できますし、スーパーや産直のお店で購入すると500gや1kgといった感じの、やや多量のパッケージで売られていることも多いと思います。
せっかく収穫・購入した、たくさんの唐辛子を無駄にするのはもったいないです。ここからは、唐辛子を上手く保存する方法をみていきましょう。
唐辛子を半年以上保存するには乾燥がベスト
生の唐辛子もおいしいのですが、フレッシュな状態は長く続きません。辛さも保っておいしく楽しめるのは1週間ほどです。
そこまでに消費し切れなかった唐辛子は保存のためになんらかの処置が必要です。
3ヶ月〜半年以内に使い切れる量であれば風味も活かせる冷凍保存が一番おすすめなのですが、それ以上の期間保管しようとするのであれば乾燥保存がベストな選択肢となります。
乾燥意外によく紹介される保存方法はオリーブオイル、醤油などに漬け込む方法です。唐辛子から辛味やおいしさが溶け出すことによって、炒め物でもドレッシングでもとても使い勝手のよい調味料になります。ただし、漬け込む方法ではそれほど長い期間保存できるわけではありません。漬け込みする調味液にもよりますが、長くても1年程度でしょう。さらに料理の際に使い方が限定されてしまうというもの少し残念な点です。
こうした点を考えると、年単位で保管すると考えると「乾燥させる」のがもっとも有効な保存法と言えます。保存できる期間も長く、料理で使う上でも制約が少なく様々な料理に使えるからです。
天日干しでの乾燥はいろいろ大変
ただし、「乾燥」と簡単に言いますが、唐辛子の天日干しでの乾燥はそれほど簡単ではありません。いろいろなノウハウや注意点があるのです。
まず、もし天日干しの場合直射日光はNGです。直射日光を当てすぎると唐辛子は白く変色して味・風味も落ちてしまいます。直射日光を避けて風通しの良いところで乾燥させななければいけません。さらに、乾燥の度合いにも注意が必要です。唐辛子の先の部分は果肉も薄く乾燥するのも早いのですが、茎につながっている「へた」の部分は少し肉厚ですから乾燥するのに時間差がでてきます。十分に乾燥できていない状態で保存してしまうと、唐辛子の中にカビが発生してしまいます。カビが発生した唐辛子なんて使いたくないですよね。
上手に乾燥させるためにはあらかじめ「へた」と取り除いたり、個別に乾燥具合を毎日チェックしたりといろいろ手間がかかってしまいます。
こうした手間や失敗の危険性を考慮すると、天日干しはそこまでおすすめな選択肢と言えません。また電動の乾燥機を使った乾燥も、電気代の面からおすすめできません。もうおわかりでしょうが、そんなみなさんにオススメなのが電子レンジによる唐辛子の乾燥です。
レンジで乾燥するメリット
自然な手法で手間がかかったり失敗が心配なのであれば、機械に頼るしかありません。一番間違いないのはドライフルーツ等を作る家庭用の食品乾燥機ですが、わざわざ唐辛子だけのために高価な乾燥機を購入するわけにもいきませんし、食品の乾燥機(ディハイドレーター)は意外と電気代が高いんです。そこでもっとも現実的な解決方法が家庭にある電子レンジやオーブンを使った乾燥です。
レンジやオーブンを使った乾燥の一番のメリットは「手軽に素早く、安く」乾燥できる点です。自然乾燥で数週間も気にかけながら管理する必要はありません。唐辛子の種類や量にもよりますが、半日もあれば乾燥の作業は完了です。
レンジとオーブンのどちらを使うべきか?ということであればレンジをお奨めします。両方とも食品に熱を加えて乾燥させるのですが、レンジが「マイクロ波」という電波を照射して食品の内部から加熱するのに対して、オーブンやトースターは外部から熱を加えます。このため、レンジで焦げてしまうという失敗はあまり考えにくいのに対して、オーブンやトースターは焦げないように注意を払わなければいけないというマイナスポイントがあるのです。
レンジで唐辛子を乾燥する方法
具体的な方法としては、なるべく唐辛子が重ならないように皿に並べて、電子レンジで少しずつ乾燥させていくのがベストです。レンジは焦げにくいとは言われているものの、あまり長い時間レンジで加熱すると、やはり黒く変色してしまいます。基本的な原理としては、「加熱で変質しないギリギリまでレンジにかけ、水分を抜く」「上がった温度を下げる」という行為を繰り返すことです。
具体的には、30秒~1分程度加熱したら5分程度冷まして…という手順を根気よく何度も繰り返していきます。唐辛子を持って耳元で振ってみて、唐辛子の中の種が「カラカラ」と音をたてるほどになれば乾燥作業の完了です。念のため、シリカゲルのような食品乾燥剤を入れて密閉容器で保存すれば、完璧です。
この他にも、「ある程度まで天日干しで乾燥させ、仕上げにレンジ乾燥」であるとか「乾燥しにくい「へた」の部分と切り取ってから乾燥」や「少し乾燥させたら全て1cm程度の輪切りにしてしまってさらに乾燥」といったような様々な工夫のポイントがあります。
まとめ
もちろん、プロの職人さんが乾燥させてくれた市販の唐辛子や工場で大量に生産される唐辛子の方が品質も安定していますしおいしいのかもしれません。それでも、素人ながらあれこれ工夫しながら唐辛子を楽しむのも生活の潤いになるのではないでしょうか?
乾燥させた唐辛子は輪切りにしたりそのまま料理に使うことも出来ますし、粗くつぶして一味唐辛子にして楽しんだり、フードプロセッサーで粉末にして使っても便利ですよ。