生の唐辛子をおいしく食べられる期間は限られています。辛さも含めておいしく楽しむのであれば、買ってきてから1週間程度が限度ではないでしょうか?
それでも唐辛子を楽しみたい。旬な収穫時期でなくとも楽しみたいということであれば、日持ちさせるための工夫が必要です。
唐辛子をいつでも楽しむことができるよう、日持ちさせるための方法を紹介していきましょう。
長期保存なら乾燥保存
保存期間 :★★★
香り・風味:★☆☆
手間を惜しまないのであれば、乾燥させるのが最も長期間保存することができます。きちんと手間をかけて適正に乾燥させた唐辛子であれば1年間は十分に楽しむことが出来ます。1年間ということは、翌年の旬の時期まで日持ちがするということですから、一年中いつでも唐辛子を楽しむことが出来るということです。これは最大のメリットです。
ただし、乾燥にはいくつかデメリットもあります。
まず、乾燥は手順が面倒で、初心者なら失敗してしまう場合も少なくないという点です。天日干しを繰り返すにしても、「へた」の部分や肉厚な部分まできちんと乾燥できたかどうかを判断するのは経験が必要です。さらに、直射日光に当てないようにしたり、乾燥後もカビに注意しながら保管したりと、心配事はたくさんあります。
もう一つは食感と香りです。乾燥した唐辛子は水分がなくなっていますから、当然食感もカサカサしてますし、香りはかなり弱くなっています。生の唐辛子が料理の素材であり香辛料である二刀流であるのに対して、乾燥唐辛子はやはり料理の素材としては少々幅が狭まってしまいます。
乾燥保存に関しては以下の記事に詳しくまとめていますので、こちらを御覧ください。
風味・香り重視なら冷凍保存
保存期間 :★★☆
香り・風味:★★★
唐辛子を辛さのためだけではなく、香り・風味のある食材として楽しみたいということであれば、冷凍保存が断然お奨めです。
乾燥ほど日持ちはしませんが、それでも冷凍なら半年ほどは保存が可能です。また、時間をかけてゆっくり解凍すれば、食感もほとんど元のままで楽しむことができます。もちろん加熱調理であれば、解凍せずにそのまま鍋やフライパンに放り込んで使っても大丈夫です。
ただし、冷凍と言っても、買ってきた唐辛子を袋ごとそのまま冷凍庫に放り込むだけでOKというわけにはいきません。唐辛子は、水洗いでよごれを落とした後、きれいに水気をとり、ラップで1つずつ包んで、さらに冷凍保存用の袋に入れて冷凍します。こうすることで、冷凍やけを防ぐことが出来ますし、調理に使う際にも好きな分量だけを取り出して使うことが出来ます。「食べる時に唐辛子の種が気になる」という人であれば、輪切りにして種を取り除いてから冷凍するという手法もお奨めですよ。
肉厚な品種なら漬けるのもあり
保存期間 :★★☆
香り・風味:★★☆
もう一つ保存食として思いつくのが、漬物です。唐辛子の漬物は、漬けた唐辛子を楽しむだけでなく、ピリッとした漬け汁もとても美味しく楽しめます。
醤油漬け
日本で一番ポピュラーな唐辛子の漬け方は醤油漬けではないでしょう?
5mm程度の輪切りにした唐辛子に醤油を注ぎ込んで漬け込みます。もちろん、唐辛子をよく水洗いすることや、辛さが苦手な人は種を除去する等々、様々なレシピ、ノウハウがあると思いますが、ここでは割愛しましょう。それぞれのお宅独自の醤油漬けがあって良いのです。この醤油漬けはおつまみでもご飯のお供でも楽しめますし、漬け汁である醤油は万能調味料になります。普通の醤油よりも格段上の味わい深い醤油になりますから、炒め物に使ったり、ぶっかけや釜玉うどんに使ったりするだけでも料理のレベルアップ間違いなしです。
酢漬け
酢漬けの唐辛子もいろいろ便利です。東南アジアの暑い地域では、この少し辛い酢が料理に使われることが多いですし、調味料としても流通しています。東南アジアでの酢漬けに使用されているのは小粒で香りが良いキダチトウガラシが使用されています。鷹の爪でやるとまた違った風味になってしまうので注意しましょう。品種で言うとプリッキーヌですが、日本で入手するのは困難なので、島唐辛子で代用するのがおすすめです。
またヨーロッパやアメリカではハラペーニョという肉厚な品種のピクルスは一般家庭でよく使用されています。ただ生のハラペーニョが日本で手に入ることは殆どないので、ここでは割愛させていただきます。
オリーブ漬け
もう一つ、洋風ということであればオリーブオイルに漬け込むのもポピュラーな方法です。漬け込んで1~2週間でオイルに唐辛子の成分が溶け出してきますが、これは唐辛子を楽しむというよりも料理用の調理オイルという位置づけかもしれません。実際、唐辛子のオリーブオイルは市販されている商品の種類も群を抜いて多く、その中には、乾燥させた唐辛子をオリーブオイルに漬け込んだものも多数あるのです。唐辛子を保存するためというよりは、唐辛子風味のオリーブオイルという扱いなのでしょうね。
いずれの場合でも、漬け込む唐辛子が新鮮で、漬け込むビンが清潔で雑菌が繁殖するようなことがなければ、1年程度は十分に楽しむことが出来ます。
ぬか漬け
ぬか漬けに唐辛子を入れる方も多いと思いますが、唐辛子を入れる理由は防虫効果を期待してのことであり、唐辛子を食べるために漬けるということはあまりありません。
それでもどうしても唐辛子をぬか漬けにしたい場合、青唐辛子を使用しましょう。それもシシトウより一回り大きく・肉厚である万願寺とうがらしがおすすめです。
唐辛子がまとまってたくさん売られていても、躊躇したり遠慮したりする必要はありません。思い切っていろいろな保存方法を試してみませんか?