中華料理店に行くと料理の上に、糸のように細く切られた赤いものが飾られていることがあります。これは唐辛子をとても細く切ったもので、中華料理では料理の仕上げに飾りとして使っています。料理をいつもより華やかにしたいと思うときに、糸唐辛子は料理の見栄えを良くしてくれるのでおすすめです。唐辛子は調味料だけでなく、飾りとしても活躍してくれます。
糸唐辛子は市販もされていますが、自宅でも手作りできます。今回は自宅での糸唐辛子の手作りでの作り方についてご紹介していきたいと思います。
市販の糸唐辛子のような均一なものを作るのは無理
出鼻を挫くようで申し訳ありませんが、最初に言っておかないといけないのは、「市販と同じクオリティの糸唐辛子」を家庭で自作するのははっきり言って不可能ということです。あれは工場で機械で処理していますので、あのクオリティと同等のものにするのは不可能です。(例外的にハサミで切っている業者もありますが)
自作の糸唐辛子は、「厚さが均一なくても大丈夫、ちょっと不格好でもその手作り感がまた良い」という方のみ挑戦してみましょう!
糸唐辛子作りに適した品種は?
ではまず最初に、糸唐辛子作りに適した唐辛子というものを解説していきたいと思います。特に【必須条件】と書いてある項目についてはよく読んでください。この条件に適さない品種は糸唐辛子にするのは非常に手間がかかるため、おすすめはできません。
【必須条件】生で作る時は果肉が薄い品種で
初めて糸唐辛子を作る場合は果肉の薄い品種で始めましょう。とはいえ日本で販売されている唐辛子は鷹の爪はもちろん、島唐辛子などほとんどが果肉が薄めの品種ですので、特に意識する必要はないと思います。
ただ上記の写真の載せたハラペーニョやパプリカなど、果肉の厚めの品種で糸唐辛子を作ってしまうと乾燥が遅い(腐敗やカビのリスクが上がる)上、糸状にするのが難しく、ドライフルーツのような横幅になってしまう場合がほとんどです。写真を見ればいかに肉厚かが理解頂けるかと思います。これらの厚めの唐辛子は上級者向けとなりますので、始めは果肉薄めの品種で試すのが良いでしょう。
完全に乾燥しているものであれば、生のときよりは加工が難しくないので比較的肉厚なものでも大丈夫です。
【必須条件】表面がゴツゴツしていない唐辛子がおすすめ
ハバネロやブートジョロキア、ししとう、万願寺とうがらしなどの品種は表面がゴツゴツしているため、細切りのカットがしづらく糸唐辛子作りには向いていません。表面がツルッとしている品種を選びましょう。
初めての場合は鷹の爪を選んでおけば間違い有りません。(辛さの好みはありますが)
辛さはお好みですが、始めは辛くないものがおすすめ
目的や好みによって辛さはご自由にお選びください。基本的にスーパーで販売されている、既に糸唐辛子になっているものには辛さ控えめの品種が使用されています。スーパーで販売されているような仕上がりにしたい場合は、辛さ控えめの品種を選びましょう。
辛めの品種で辛さを抑えるコツ
初めて糸唐辛子を作る方には辛くない品種で作ってみるのがおすすめなのですが、そもそも辛くない品種はスーパーであまり販売されていなかったりします。(シシトウや万願寺唐辛子が赤くなるまで熟すという手もありますが、先述のようにゴツゴツしているので糸唐辛子づくりには向いていません)また自家菜園で取れた唐辛子を糸唐辛子に加工したいという方もいらっしゃるでしょう。
もし手に入る唐辛子が辛い品種しか無いという場合は、唐辛子を開き、中の胎座をしっかりと取り除いた上で、念入りに水洗いをしましょう。唐辛子で一番辛い部分は果肉ではなく、胎座という種がついている白いワタの部分です。この部位に辛味のもとであるカプサイシンが凝縮されていますので、この胎座をしっかりと取り除くことが辛味を抑える秘訣となります。
諦めて甘口で辛味の少なく、かつゴツゴツしていない唐辛子をネットで購入するのも一つの手ではありますが、唐辛子はネットで購入すると意外と高く付く場合があり、であれば糸唐辛子になったものを購入したほうが安く上がるという本末転倒状態になってしまう可能性がありますのであまりおすすめできません。
生の唐辛子で糸唐辛子を作る場合
さて糸唐辛子に向く品種・向かない品種についての解説をしたところで、そろそろ本題の作り方に入っていきたいと思います。
準備
生の唐辛子を糸唐辛子にするなら、まず包丁をよく研いでおきましょう。市販の糸唐辛子は工場の機械で極細にしていますが、自宅でなるべく糸のように細く切るには包丁が切りやすくないといけません。しっかりと研ぎましょう。とは言え家庭に砥石が無いという方もいらっしゃると思いますので、茶碗の裏に水をつけて研げば十分です。
加工
1.唐辛子を切る
切る前の下準備として、唐辛子に一筋切れ目を入れ、中身を取り出します。片側だけ開くのがおすすめですが、面倒であれば縦半分にしてしまっても良いです。
2.ワタを抜く
唐辛子の白い部分(胎座)と種を抜く
その唐辛子そのままで良いかたは中身を取るだけで良いですが、辛さを控えめにしたいという方は中のワタを取ったあとよく水洗いをし、クッキングペーパーなどで水気を拭き取りましょう。(辛さを抑えるコツは前項「辛めの品種で辛さを抑えるコツ」を読んでください)
3.千切りにする
唐辛子の種が取れたら、千切りの要領で細く切ってください。研いでいない包丁だとうまく千切り状態にできないので、包丁の研ぎは重要です。
4.電子レンジで水分を飛ばす
切った唐辛子は、電子レンジで水分を飛ばし乾かします。レンジは最初に1分ほどかけて、様子を見ながら何回か続けます。レンジは最初に1分ほどかけて、様子を見ながら何回か続けます。注意しないと焦げてしまいます。カラカラになったら、糸唐辛子の完成です。
この時水分が残っているとカビや腐敗の原因となりますので、カラカラになるまでしっかりと加熱しましょう。
乾燥唐辛子で糸唐辛子を作る場合
乾燥唐辛子の場合、一度水で戻す方法と、そのまま切ってしまう方法があります。どちらでも唐辛子の乾燥状態によりますので、ケースバイケースで柔軟に対応してみてください。
ズボラな方にはハサミでそのまま切ってしまうのがおすすめです。
1度水に戻す方法
1.水で戻す
乾燥唐辛子を、5〜10分ほど水につけてふやかします。生だと柔らかく切りやすいのですが、乾燥唐辛子は表面が固くそのままだと切りにくいです。水につけて水分を含ませると、柔らかくなるので切りやすくなります。
2.千切りにする
乾燥唐辛子がある程度水分を含んできて柔らかくなったら、生の唐辛子と同じ要領で胎座と種を取り除き、千切りにし細くしていきます。乾燥唐辛子を水に戻したものであれば、よく切れるハサミで切ってしまうのもおすすめです。
3.電子レンジで水分を飛ばす
切り終わった後の作業は生の唐辛子と同じ流れで、様子を見ながらレンジでチンして完成させます。
水で戻さずそのまま着る方法
面倒な方はハサミでもOKです!
電子レンジにかけるのも面倒という方は、前述の「水で戻す」という工程を飛ばしていきなりハサミで切ってしまっても大丈夫です。この方法の場合胎座と種は勝手に落ちてくれるので楽で良いです。
切り終わったら少し叩いて胎座と種を振り落とします。辛めのものが好きな方はそのままにしておいても大丈夫です。
ただ乾燥唐辛子の水分が抜けきってしまっているものですとハサミを入れるだけで周りごと割れてしまいうまく切れませんので、一度ハサミで切って見てダメそうだったら水に戻しましょう。
切り方のコツ
冒頭で市販のようなクオリティにするのは無理と伝えましたが、可能な限りクオリティを上げたいという方にとっておきの方法を伝授します。家庭で一番均一に切れる切り方は、面倒ですが「定規を使ってカッターで切る」という方法です。
ただ定規やカッターを食品専用で常備しているという方はいないと思いますので、使用する前に洗剤でよく洗い、最後にアルコール消毒してから切ってください。また口に入れるものですので、カッターは刃こぼれしないように十分に気をつけてください。(自己責任でお願いします)
糸唐辛子の活用方法
中華料理で糸唐辛子は風味付けというより、飾りつけの用途で使われています。手作りした糸唐辛子も飾りつけとして使い、料理をよりおいしく見せてみましょう。目立つ赤色をした糸唐辛子は、煮ものや魚の煮つけといった茶色系の和食に飾るとアクセントになります。料理は色にアクセントがつくと、おいしそうに見え食欲がそそられます。
赤い飾りとして焼きそばや焼うどんには赤しょうがを添えますが、しょうがの代用に糸唐辛子を添えてみるのも良いでしょう。
まとめ
唐辛子は調味料として使える他に、料理をおいしく見せる飾りものにも使えます。今回ご紹介した通り、糸唐辛子は切れ味の良い包丁や包丁で千切りにし、レンジでチンすれば自宅でも簡単に手作りできます。糸唐辛子で料理は華やかに変身するので、ぜひ挑戦してみてください!